断熱性能<省エネ地域区分6地域の場合>
●taruShiruが推奨する【断熱性能】
taruShiruの自宅兼事務所は、現行の断熱等性能等級4(2025年に義務化となる基準)を満たす性能で、2010年新築しました。
現在冬に温度を計測をしていると、外気温が8℃を切った辺りで床から底冷えを感じ、窓からも冷気を感じます。
アルミ樹脂サッシ枠の表面温度はほぼ外気温で、10℃を切ります。床や窓の表面温度が低いために冷輻射が起きて、体温が奪われます。
エアコン運転で見掛けの室温が20℃あっても、快適とは程遠い真冬の体感です。真夏も然り。
では、これから家を建てる場合に1ランク上の断熱等級5(UA値0.6以下/ZEH基準)で十分なのか?
実は2030年にはこの断熱基準が義務化レベルへと引き上げられる予定です。10年経たないうちに、等級5は最低基準に。
未来への投資として(高騰する電気・ガス代への対応も含めて)長い目で見ると、望ましいのは更に高い性能です。
2017年より、断熱等級6の住宅(UA値0.46以下/HEAT20G2)を充填断熱、樹脂サッシの仕様で何棟も設計してきましたが、
家の寿命を長いサイクルで考えて、燃費(冷暖房費)や健康寿命(身体への負担がより少ない温度環境)も考慮すると、
「付加断熱」をしたいところです。6地域での目安値を挙げるとすれば、UA値0.34以下(5地域のG2)です。
●断熱等級(UA値)よりも、【室温シミュレーション】
では、断熱等級7(UA値0.26以下/HEAT2G3)まで向上させた方がより良いのでは?…答えはイエスもノーもあり得ます。
パッシブデザインが曖昧な方法だと、UA値0.26の家よりもUA値0.34の家の方が快適な室温で、冷暖房費も少ないという状況に。
建物配置や窓計画が重要で、日照(日射熱取得量)の影響を加味した室温シミュレーションを行うことが肝要です。
目指すべきはUA値ではなく、1年を通して住み手がストレスを感じずに、小さなエネルギーで快適室温をキープできること。
UA値は目安の1つでしかなく、日照と室温のシミュレーションを適切に行って設計しているか、その差が違いを生みます。
ちなみに、世界には日本のG2をクリアする断熱レベルが最低基準になっている国がたくさんあり、遅れをとっています。
そして、住宅の断熱性能の低さだけでなく、災害時の避難所にもなる公共施設の断熱性能の低さも大きな課題となっています。
2022年の夏、taruShiruは小学校の学習環境改善に仲間と取り組みました。夏の教室の室温はエアコンを運転しても、30℃超え。
日本で大多数を占める古い校舎では、非健康的な環境で子供たちが過ごしています。勉強に集中できる状態ではないですよね。
未来を担う子供たちに向けて、建築に携わるものとしての社会的責任があるという想いで、活動を続けています。
→【事例紹介】の「ワークショップ」に掲載している、【さいたま市立芝川小・遮熱フェス】プロジェクトをぜひご覧ください。