あるメーカーさんで建築された築8年の住宅へ、ご相談を受けて伺ってきました。
図面をお借りすると、サッシや断熱の仕様もしっかりと記載されていたので、
それらを元に断熱性能(UA値)を計算すると、現在の断熱等級4は余裕でクリアしていました。
断熱等級4という基準、1年程前は国の定める最高基準でした。そして、このレベルを
満たす家は、現在建っている住宅の中でほんの10数パーセントの割合しかありません。
「ということは、きっと高断熱な家なんでしょ?」
「だったら何もしなくてもいいんじゃないの?」
って、多くの方は思いますよね。
実際に、つい1年程前は断熱等級4が最高基準でした。しかし、今は断熱等級7まであります。
そして2025年4月以降は、全ての新築住宅で等級4が義務化となります。
(今までは断熱の基準はあっても義務ではなかったので、初の義務化です。)
つまり等級4は一気に、最低の断熱基準になります。
ちなみに世界の基準は遥か上で、さいたま市エリアでいうと等級6をクリアするレベルです。
そもそも日本の断熱基準が低すぎるという話があるんです。
日本の電気の多くは化石燃料から発電したもので、輸入先の海外へとお金が流れていく。
高騰する電気料金を考えると、その量はどんどん増えていく状況です。
「家の断熱をしっかりやって、電気代が安くなった分のお金を住んでいる地域で使えば、
街全体がハッピーになっていくはず。街の未来を考えたら、地域経済が循環することが大事。」
これは僕じゃなくて、ご相談下さった家主さん(ご職業は税理士さん)の言葉です。
素晴らしすぎて、喜んで調査をお受けしたという経緯があります。
まず、寒い間に室内外の温湿度&CO2濃度を1カ月計測しました。一部の測点はモニターで
家主さんもリアルタイム確認できるようにして、状況を把握してもらいました。
自分たちの住む環境に対して、住み手の意識向上も大事です。
そして室内の空気温度だけでなく、表面温度も大切な調査ポイント。
サーモカメラで、床・壁&窓・天井、そして外気の通る床下の状況を撮影しました。
こちらのお宅、猫ちゃん達が居るので冬は多くの時間、リビングの温水床暖房をONとのこと。
基本的な断熱施工は概ねしっかりしていて、床暖房の効果で底冷えするような寒さは感じない。
でも、そのランニングコストはエアコンより割高なので、暖房費は決して安くはない。
サーモ画像から、外気温近くまで冷える窓の表面温度や、意外に高い床下空間の温度、そして
主な熱の逃げ道と、良くも悪くも床暖房(設備)頼みの環境であることが見て取れる。
24時間換気の使用状態、就寝時に寝室の窓から冷気を感じる…などの状況もお聞きしました。
これらを踏まえて、断熱強化の提案を検討中。お得な窓リノベ補助金も活用していきます。